2025年以降、世界的モーターメーカーである**ニデック**をめぐり、不適切会計やコンプライアンス違反の疑いが相次いで明らかになっています。
本件は単なる一子会社の問題ではなく、複数の海外子会社・本社を巻き込んだ構造的な問題として市場や投資家から厳しい視線が向けられています。
本記事では、
- 不適切会計は何が問題なのか
- どの子会社で何が起きたのか
- 経営陣はどこまで関与していたのか
- 今後どうなるのか
について、最新状況を踏まえて整理します。
ニデックの不適切会計問題とは?

ニデックの不適切会計問題は、主に次の2つが複合的に絡んだ不祥事と整理されています。
① 損失や費用を本来の時期に計上しなかった疑い
本来計上すべき減損損失や評価損を先送りし、当期利益を実際より大きく見せていた可能性。
② 税務・関税・輸出管理を含む不適切処理
関税の未払い・過少申告、税務処理の不備などが複数の海外子会社で連鎖的に発覚。
このため、会計だけでなくガバナンス・企業風土の問題として注目されています。
発覚の経緯|最初のきっかけは「関税未払い」

2025年6月ごろ
連結子会社FIR社において、
原産国申告の誤りによる追加関税の未払いが判明。
これを受け、ニデックは
- 類似事案の有無を調査
- 有価証券報告書の提出期限延長を公表
しました。
その後の社内調査で問題が拡大
調査を進める中で、
- 中国子会社の取引に関する一時金(仕入割引のような性格)の会計処理
- 他のグループ会社・本社でも同様の処理が行われていた可能性
が浮上。
2025年9月
事態を重く見たニデックは、
第三者委員会(外部弁護士・会計専門家)を設置。
同時に、
本社や複数グループ会社の経営陣が関与または認識していた可能性を示す資料が見つかった
と公表し、組織的問題である可能性が示唆されました。
主な不適切・疑いのある会計処理の内容
① 減損・評価損の「先送り」疑惑
資産価値が下落しているにもかかわらず、
- 減損損失の計上を遅らせる
- 評価減のタイミングを恣意的に調整する
ことで、当期利益をかさ上げしていた可能性が指摘されています。
これは一般に
- 「損失の先送り」
- 「利益の水増し」
と見なされ、不正会計に該当する恐れがあります。
② 中国子会社での不適切な取引・会計処理
中国子会社では、
- 仕入先からの一時金(実質的な仕入割引)
- その会計処理方法が不適切だった疑い
が判明。
さらに、
当該子会社だけでなく、本社や他のグループ会社の管理職が認識・関与していた可能性を示す文書も見つかっています。
③ 関税・輸出管理・税務の問題(複合不祥事)
不適切会計は、以下のような法令違反リスクとも結びついています。
- FIR社
原産国誤表示による関税未払い - ニデックエレシス株式会社
正当な理由なく関税を過少申告 - スイス連結子会社
輸出登録未実施のまま取引 - 中国の別子会社
源泉所得税の過少申告・未徴収疑い
会計処理の問題と、
貿易・税務コンプライアンスの欠如が同時に露呈した形です。
経営陣の関与とガバナンス問題

ニデックは、
- 経営陣が不適切処理を「認識していた」
- または「関与していた」と解釈し得る資料
が複数見つかったと開示しています。
特に焦点となっているのが、
創業者で元代表の永守重信氏の関与です。
指摘されているポイント
- 業績目標・株価を強く意識した経営姿勢
- 減損計上を避ける企業風土
- 「意向優先」の組織文化
永守氏は2025年12月に辞任していますが、
直接命令の証拠はなく「風土責任」が中心とされています。
監査法人の判断|意見不表明という異例事態
2025年9月提出の有価証券報告書に対し、
監査法人は**「意見不表明(Disclaimer of Opinion)」**を表明。
これは、
- 財務諸表の信頼性を判断できない
- 極めて重大な問題がある
ことを意味し、市場では深刻に受け止められました。
その後の対応と改善計画
第三者委員会の設置
- 不適切会計の範囲・金額
- 関与者の責任
- 再発防止策
を調査中。
2026年1月
**東京証券取引所**へ
「改善計画・状況報告書」を提出。
主な原因として
- 創業者意向優先の風土
- 株価至上主義
- 内部統制の弱さ
など6項目を挙げ、
人事評価制度の見直し、通報制度強化などを掲げました。
今後のスケジュール(予定)
| 項目 | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 中間報告 | 2026年2月末 | 原因分析・再発防止策 |
| 最終報告 | 未定 | 不適切額・全容解明 |
| 改善計画修正 | 最終報告後 | 東証審査対応 |
※2026年2月26日現在、最終報告は未公表です。
ざっくりまとめ(論点整理)
中心的な不正疑惑
- 減損・評価損の先送りによる利益かさ上げ
周辺で発覚した問題
- 関税未払い
- 関税・税務の過少申告
- 輸出管理違反
構造的問題
- 経営陣関与疑惑
- 内部統制の弱さ
- 業績プレッシャー文化
今後、第三者委員会の最終報告によって、
- 誰がどこまで責任を負うのか
- 修正額はいくらになるのか
が明確になる見込みです。

コメント