作家として多くの共感を集め、今やテレビや講演など多方面で活躍する岸田奈美(きしだ・なみ)さん。その作品の根底には、彼女自身が経験してきた複雑な家庭環境や大切な人との別れがあります。
今回は、そんな岸田奈美さんのこれまでの歩みを、経歴・家族・作家としての転機などに分けてわかりやすくご紹介します。
幼少期と家族構成:困難の中に育った日常

岸田さんは、幼い頃から一風変わった、しかし温かい家族に囲まれて育ちました。
- 父:建築系ベンチャー企業の起業家。仕事熱心でユーモアのある存在でしたが、岸田さんが中学2年生の初夏、急性心筋梗塞により39歳の若さで急逝。
- 母:父の死後まもなく体調を崩し、車いすユーザーに。
- 弟:ダウン症を持っており、岸田さんは彼の面倒を見ながら成長しました。
家族に次々と襲いかかる困難の中で、岸田さんは「自分が家族を守らなければ」と強く感じるようになったそうです。
学歴と学生時代の活動
- 小学校:神戸市立西山小学校
- 中学校:神戸市立有野北中学校
- 高校:兵庫県立神戸鈴蘭台高校
- 大学:関西学院大学 人間福祉学部 社会起業学科
大学1年生のときに、ユニバーサルデザインに特化したコンサルティング会社「ミライロ」の創業メンバーとして参加。広報部長として10年間在籍し、バリアフリー社会の実現を目指して数々の活動を行いました。
この間、「ガイアの夜明け」などのメディアにも出演し、社会的な啓発に尽力してきました。
作家としての転機と活動
noteでの執筆が大反響!
岸田さんが作家として注目を集めたのは、2019年にnoteへ投稿した家族のエピソードがきっかけです。
ユーモアとシリアスを交えた文章に、多くの人が共感しました。
独立と代表作の誕生
翌2020年には作家として独立し、同年に出版した**『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』**(小学館)はベストセラーに。
この作品は、NHKでドラマ化もされ、彼女の知名度は一気に全国区へ広がりました。
その他の著書には、
- 『傘のさし方がわからない』
- 『もうあかんわ日記』
などがあります。
岸田奈美の作風と人柄
岸田さんは、自身を「100文字で済むことを2000文字で書く作家」と表現します。
その作風は、身近な家族との日常を、笑いと涙を織り交ぜて丁寧に描くスタイルです。
障害・喪失・生きづらさといった重たいテーマでも、岸田さんの言葉を通すと不思議と温かく、前向きに感じられるのが特徴です。
父の死がもたらした影響

中学2年生のときに突然訪れた、父の死。この出来事は、岸田さんにとって人生観や家族観を大きく揺るがすものでした。
父は、岸田さんに英語版のファービーや初代iMacを買い与えるなど、時代の先を行く感覚と愛情に満ちた存在。
最後に言葉を交わせなかったことが、長く後悔として残ったそうです。
その後、母の倒れや弟の世話と、彼女には次々と試練が襲いました。しかし、それらすべての経験が、後の作家としてのテーマ性と表現力に繋がっています。
活動の広がりと受賞歴
- noteや講談社「小説現代」、文藝春秋などで連載・執筆
- 年間800万PVを超える人気作家
- テレビ・ラジオでのコメンテーターや講演活動も活発
さらに、世界からも注目される存在に——
- Forbes「30 UNDER 30 JAPAN 2020」選出
- Forbes Asia「30 UNDER 30 Asia 2021」選出
- 世界経済フォーラムグローバルシェイパーズメンバー
現在は、関西大学の客員教授としても教育分野で活動しています。
基本プロフィール

- 名前:岸田 奈美(きしだ なみ)
- 生年月日:1991年7月25日
- 出身地:兵庫県神戸市
- 職業:作家・エッセイスト、関西大学客員教授
- 最終学歴:関西学院大学 人間福祉学部 社会起業学科 卒業(2014年)
まとめ:岸田奈美という存在の魅力
岸田奈美さんは、ただの人気作家ではありません。
家族の障害や死別、社会の偏見や制度の壁など、誰もが目を背けがちな「生きづらさ」を、あたたかくユーモラスに描き続ける表現者です。
彼女の作品や活動は、多くの人に「弱さを肯定してもいい」「悲しみを抱えながらでも笑って生きていい」と教えてくれます。
これからも岸田奈美さんの発信に注目していきたいですね。
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