作家として多くの共感を集め、今やテレビや講演など多方面で活躍する岸田奈美(きしだ・なみ)さん。その作品の根底には、彼女自身が経験してきた複雑な家庭環境や大切な人との別れがあります。
今回は、そんな岸田奈美さんのこれまでの歩みを、経歴・家族・作家としての転機などに分けてわかりやすくご紹介します。
岸田さんは、幼い頃から一風変わった、しかし温かい家族に囲まれて育ちました。
家族に次々と襲いかかる困難の中で、岸田さんは「自分が家族を守らなければ」と強く感じるようになったそうです。
大学1年生のときに、ユニバーサルデザインに特化したコンサルティング会社「ミライロ」の創業メンバーとして参加。広報部長として10年間在籍し、バリアフリー社会の実現を目指して数々の活動を行いました。
この間、「ガイアの夜明け」などのメディアにも出演し、社会的な啓発に尽力してきました。
岸田さんが作家として注目を集めたのは、2019年にnoteへ投稿した家族のエピソードがきっかけです。
ユーモアとシリアスを交えた文章に、多くの人が共感しました。
翌2020年には作家として独立し、同年に出版した**『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』**(小学館)はベストセラーに。
この作品は、NHKでドラマ化もされ、彼女の知名度は一気に全国区へ広がりました。
その他の著書には、
などがあります。
岸田さんは、自身を「100文字で済むことを2000文字で書く作家」と表現します。
その作風は、身近な家族との日常を、笑いと涙を織り交ぜて丁寧に描くスタイルです。
障害・喪失・生きづらさといった重たいテーマでも、岸田さんの言葉を通すと不思議と温かく、前向きに感じられるのが特徴です。
中学2年生のときに突然訪れた、父の死。この出来事は、岸田さんにとって人生観や家族観を大きく揺るがすものでした。
父は、岸田さんに英語版のファービーや初代iMacを買い与えるなど、時代の先を行く感覚と愛情に満ちた存在。
最後に言葉を交わせなかったことが、長く後悔として残ったそうです。
その後、母の倒れや弟の世話と、彼女には次々と試練が襲いました。しかし、それらすべての経験が、後の作家としてのテーマ性と表現力に繋がっています。
さらに、世界からも注目される存在に——
現在は、関西大学の客員教授としても教育分野で活動しています。
岸田奈美さんは、ただの人気作家ではありません。
家族の障害や死別、社会の偏見や制度の壁など、誰もが目を背けがちな「生きづらさ」を、あたたかくユーモラスに描き続ける表現者です。
彼女の作品や活動は、多くの人に「弱さを肯定してもいい」「悲しみを抱えながらでも笑って生きていい」と教えてくれます。
これからも岸田奈美さんの発信に注目していきたいですね。
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