最近、テレビやインターネットのニュースで「サイバー攻撃」という言葉を耳にする機会が増えました。
企業のシステムが停止したり、個人情報が流出したりと、私たちの身近なサービスにも影響が広がっています。
「なぜ最近こんなにサイバー攻撃が多いの?」
「自分の個人情報も流出しているかもしれない?」
「スマホやパソコンは大丈夫なの?」
そんな疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
実際に、2026年は国内で公表されたサイバー攻撃による情報漏えい事案が増加しています。
この記事では、サイバー攻撃が増えている理由や2026年の被害事例、私たちの生活への影響、個人でもできる対策について分かりやすく解説します。
結論からいうと、国内で公表されたサイバー攻撃による情報漏えい事案は増加しています。
MM総研が2026年10月14日に発表した調査によると、2026年1〜9月に初めて公表された国内の情報漏えい事案は454件でした。
前年同期の304件と比較すると、約49%の増加です。
| 年 | 1〜9月の公表件数 |
|---|---|
| 2022年 | 239件 |
| 2023年 | 208件 |
| 2024年 | 272件 |
| 2025年 | 304件 |
| 2026年 | 454件 |
出典:MM総研「サイバー攻撃による情報漏えい、2026年は4年前の約1.9倍に」
2026年の件数は、2022年の約1.9倍に達しています。
ただし、この数字は公表された情報漏えい事案を集計したものです。世界中で発生したサイバー攻撃の総数を示すものではありません。
また、企業による被害の発見や公表が進んだ影響も考えられます。
それでも、被害が広がっていることを示す重要なデータといえるでしょう。
では、なぜこれほどサイバー攻撃が問題になっているのでしょうか。
主な背景として、5つの理由が考えられます。
サイバー攻撃の大きな目的の一つが、お金を手に入れることです。
特に問題になっているのが「ランサムウェア」と呼ばれる攻撃です。
ランサムウェアとは、パソコンやサーバー内のデータを暗号化して使用できなくし、元に戻すことなどを条件に金銭を要求する不正プログラムです。
最近では、データを盗み出して「公開されたくなければお金を払え」と脅す手口もあります。
攻撃者の中には、ランサムウェアをサービスとして提供するグループも存在します。
そのため、高度なプログラムを一から開発しなくても攻撃に参加できる仕組みが広がっています。
AI技術の進歩も、サイバーセキュリティの新たな課題です。
AIは便利な技術ですが、悪用される可能性もあります。
例えば、自然な日本語の詐欺メールを作ったり、大量の情報を短時間で処理したりする用途が考えられます。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織向けの脅威として初めて選ばれました。
ただし、最近のサイバー攻撃がすべてAIによって行われているわけではありません。
従来からある手口と新しい技術が組み合わさることで、対策が難しくなっているのです。
企業では、パソコンやサーバー、ネットワーク機器など、多くのITシステムを利用しています。
こうした機器やソフトウェアには、セキュリティ上の弱点が見つかることがあります。
この弱点を「脆弱性(ぜいじゃくせい)」と呼びます。
メーカーが修正プログラムを提供しても、企業側で更新が遅れると、その間に攻撃を受ける危険があります。
特に古いシステムを長期間使用している場合や、管理する機器が多い場合には注意が必要です。
サイバー攻撃の標的は、大企業だけではありません。
MM総研の調査によると、2026年1〜9月に公表された情報漏えい事案のうち、従業員300人以下の企業に関する事案は195件でした。
前年同期の99件から、約2倍に増えています。
中小企業は大企業と比べて、セキュリティ対策に十分な人員や予算を確保できない場合があります。
また、大企業の取引先を狙い、そこを経由して情報を盗み出そうとする攻撃も問題になっています。
「うちは小さな会社だから狙われない」とは言い切れない時代です。
現在は多くの企業が、顧客情報の管理や業務システムにクラウドサービスを利用しています。
クラウドサービスは便利ですが、一つのサービスで障害が発生すると、複数の企業に影響が広がる場合があります。
例えば、予約管理や販売管理のシステムが停止すれば、直接攻撃を受けていない店舗でも業務ができなくなる可能性があります。
私たちの生活が便利になった一方で、ネットワークのトラブルが広範囲に影響しやすくなっているのです。
2026年には、身近な企業やサービスに関する被害が相次いで公表されました。
ここでは、代表的な事例を紹介します。
2026年10月、焼肉きんぐなどを展開する物語コーポレーションは、公式アプリの会員管理システムに対する不正アクセスを公表しました。
対象となった会員情報は、約1,079万件です。
氏名やメールアドレス、電話番号などが含まれていました。
一方、発表によると、ログインパスワードや店舗利用履歴は漏えい対象に含まれていません。
普段利用している飲食店のアプリでも、個人情報の管理が重要であることを示す事例です。
旅行予約サイト「skyticket」を運営するアドベンチャーも、2026年10月に不正アクセスの被害を公表しました。
約1,464万件の顧客情報について、流出または流出のおそれがあると発表されています。
さらに追加調査では、過去の決済記録に関連するクレジットカード情報についても、最大6,140人分が流出した可能性が明らかになりました。
ただし、公表された情報の件数が、そのまま被害を受けた人数を表しているとは限りません。
この事例では、以前に保存された情報も攻撃の対象になり得ることが分かります。
2026年10月7日、IDCフロンティアのクラウドサービスの一部がランサムウェア攻撃を受け、障害が発生しました。
報道によると、契約先495の企業・自治体に影響が及びました。
これは、一つのサービスが攻撃されることで、多くの組織の業務に影響が広がることを示した事例です。
なお、同社は調査結果を踏まえ、被害を受けた仮想サーバー内のデータについて外部流出はなかったと判断したと報じられています。
このように、サイバー攻撃の被害は個人情報の漏えいだけではありません。
システムが停止し、業務が続けられなくなることも大きな問題です。
※上記は2026年10月24日時点で確認できる公表情報に基づいています。調査の進展によって内容が更新される場合があります。
「企業が攻撃されたニュースだから、自分には関係ない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、サイバー攻撃は一般の利用者にも影響する可能性があります。
企業が保管している氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどが流出すると、迷惑メールや詐欺に悪用される危険があります。
ただし、情報が漏えいしたからといって、必ず金銭被害が発生するわけではありません。
重要なのは、何の情報が漏えいしたのかを確認し、必要な対策を取ることです。
サイバー攻撃によってシステムが停止すると、通販サイトで注文できなくなったり、予約内容を確認できなくなったりする可能性があります。
店舗の販売管理や物流システムが影響を受ければ、商品の発送が遅れることも考えられます。
漏えいした情報にカード情報やログイン情報が含まれている場合、不正利用につながる危険があります。
また、漏えいしたメールアドレスを利用して、偽のログイン画面へ誘導するフィッシング詐欺が行われることもあります。
ただし、メールアドレスが漏れただけで、直ちに銀行口座からお金が引き出されるわけではありません。
被害の可能性は、漏えいした情報の種類や、利用しているサービスの認証方法によって異なります。
サイバー攻撃は、医療機関や交通機関などのシステムにも影響を与える可能性があります。
病院のシステムが停止すれば、診療や検査、予約業務に支障が出ることも考えられます。
デジタル化が進む現代では、サイバーセキュリティは生活を支える重要な問題になっています。
企業側の対策はもちろん重要ですが、私たち個人にもできることがあります。
複数のサイトで同じパスワードを使っていると、一つのサービスから情報が流出した際、別のサービスにも不正ログインされる危険があります。
サービスごとに異なる、十分に長いパスワードを設定しましょう。
パスワード管理アプリを利用するのも一つの方法です。
パスワードに加えて、スマホへの通知や認証アプリなどを利用する仕組みです。
パスワードが知られてしまった場合でも、不正ログインを防ぐ助けになります。
利用できるサービスでは、積極的に設定しておきたい機能です。
銀行や宅配業者、通販サイトを装った偽メールには注意が必要です。
「アカウントが停止されます」「今すぐ確認してください」など、不安をあおる文章でリンクを押させようとするケースがあります。
心当たりがある場合でも、メール内のリンクではなく、公式アプリや自分で登録したブックマークから確認しましょう。
OSやアプリの更新には、セキュリティ上の問題を修正する内容が含まれることがあります。
更新を後回しにせず、可能であれば自動更新を利用しましょう。
写真や仕事のファイルなど、大切なデータはバックアップしておくことが重要です。
クラウドだけでなく、必要に応じて外付けストレージなどにも保存すると、トラブル時の復旧に役立ちます。
ただし、バックアップ先も攻撃や故障の影響を受ける場合があります。
保存したデータを実際に復元できるか確認しておくことも大切です。
カード情報の漏えいが心配な場合は、利用明細を確認しましょう。
身に覚えのない利用があれば、速やかにカード会社へ連絡してください。
不正利用通知などの機能がある場合は、設定しておくと気づきやすくなります。
利用しているサービスで情報漏えいが発表された場合、まずは運営会社の公式サイトを確認しましょう。
漏えいした情報の種類によって、必要な対応は異なります。
例えば、パスワードが漏えいした可能性がある場合は、パスワードの変更が必要です。
カード情報が対象の場合は、カード会社の案内に従って対応しましょう。
SNSの噂だけで判断せず、公式発表を確認することが重要です。
日本企業が持つ顧客情報や機密情報、業務システムが攻撃者にとって価値を持つためです。
また、セキュリティ対策が不十分なシステムや取引先が侵入口になることもあります。
ただし、日本企業だけが特別に狙われているわけではなく、サイバー攻撃は世界各国で発生しています。
はい。個人のスマホも、不正アプリやフィッシング詐欺などの被害を受ける可能性があります。
OSの更新、公式ストアからのアプリ導入、多要素認証の設定などが重要です。
必ず悪用されるわけではありません。
ただし、漏えいした情報によっては、迷惑メールや詐欺、不正ログインなどに利用される可能性があります。
公式発表を確認し、必要に応じてパスワード変更やカード会社への相談を行いましょう。
サイバー攻撃は、ネットワークやコンピューターを狙った不正行為の総称です。
ランサムウェアは、その中でもデータの暗号化や情報の窃取を通じて金銭を要求する攻撃に使われる不正プログラムです。
つまり、ランサムウェアによる攻撃はサイバー攻撃の一種です。
今回は、サイバー攻撃が増えている理由や2026年の被害事例、私たちへの影響について紹介しました。
主なポイントは次のとおりです。
サイバー攻撃は、もはや一部の企業だけの問題ではありません。
私たちが普段利用しているネットショッピング、銀行、予約サービスなども、デジタル技術によって支えられています。
便利なサービスを安心して利用するためにも、サイバー攻撃の仕組みを知り、日頃からできる対策を続けることが大切です。
This website uses cookies.